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DICE-K [その他]

数日前に『マサチューセッツ工科大学(MIT)利根川進教授らが、脳の神経回路のスイッチを自在に「オン」「オフ」する遺伝子操作技術を世界で初めて開発することに成功した』というニュースを読みました。

それだけなら「おー、そうかー」と思うくらいですが、同じマサチューセッツ州が本拠地のボストン・レッドソックス松坂大輔投手のニックネームにちなんで「Dice-K(ダイスケ)」と名付けたっていうところで目が止まりました。これで科学だけでなく一般ニュースの仲間入りという感じですね(笑)

このDice-Kという技術を使うと、マウスの脳の特定の神経回路を自在に遮断したりつないだりできるんだそうですよ。生きたままで神経回路のオン、オフを操作できたのは初めてだそうで。生きたまま神経回路をオフにされたりオンにされたりしているマウスを想像してしまいましたが…。でも、これまでは脳神経の働きを調べるために人為的に破壊していたので、回復できなかったわけですよね。かなり画期的な技術ということです!

<dice-k>
doxycycline-inhibited circuit exocytosis-knockdown
ドキシサイクリン-抑制 回路 エクソサイトーシス(開口分泌)-ノックダウン(機能停止)
(正式な訳はどうなるんでしょう・・・)

言葉だけではわけがわかりませんねぇ。神経などの一部が人為的に破壊されたマウスはノックアウトマウスといますが、アウトじゃなくてダウンというわけですね。ノックアウト(破壊)とノックダウン(抑制)の違いかー。破壊せずに残っていると。
それにしても、よく考えた頭文字だと思いませんか?(笑)

米国立衛生研究所(NIH)理化学研究所(RIKEN)脳科学総合研究センターの支援を受けて行われた今回の実験では、学習と記憶をつかさどる海馬に注目しました。海馬の特定の神経回路の1つを遮断すると記憶力が衰えるんだそうです。物覚えの悪いマウスになってしまうということですね。

1987年にノーベル医学・生理学賞を受賞している利根川教授はハワードヒューズ医学研究所(HHMI)の研究員でもあります。すごいですね。
思いっきり余談ですが、ハワード・ヒューズといえば、数年前にレオナルド・ディカプリオ主演の「アビエイター」を観ましたよ。華やかで豪快な人生を送った大富豪ですが、心の中には闇を抱えていた部分もあったりして。強迫性障害や薬物乱用で晩年は孤独だったんですね。意外に興味深い作品でした。

米国の科学雑誌Scienceに発表された抄録(英語)はコチラ
MITのニュースリリース(英語)はコチラ

脳のしくみや働きについてはまだまだわかっていない部分が多いようです。きっとこれからの研究に役立つことでしょう。それにしても、たくさんのマウスくんたちの犠牲のもとに研究が成り立っているんですね。ちょっと複雑な心境になります。
うちの天井裏にいるのはマウスじゃなくてラットかぁ・・・。


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いー

( ̄∧ ̄)(_ _)フムフム・・・すごいねぇ
でも実際の医療に実用化するには何十年もかかるんでしょうね、こういうところに日本の企業がお金だすようになればいいんだろうけどね。
by いー (2008-01-30 17:29) 

はーく

>いーさん
そうですよね。
実験の成功が臨床に生かせるようになるには時間もお金もだいぶかかるんでしょうねー。薬剤だって承認申請してから何年も試験を繰り返してやっと承認されるみたいだし。
by はーく (2008-01-30 22:55) 

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