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シュツットガルト・バレエ団「オネーギン」'08 11/30 [バレエ]

先週の「眠れる森の美女」から始まったシュツットガルト・バレエ団2008年来日公演の東京公演は今日の「オネーギン」が最終日です。あとは大阪でオネーギン、岩国と西宮で眠りの公演があります。(大阪、西宮公演の詳細は→コチラ、岩国公演は→コチラ

オネーギン:フィリップ・バランキエヴィッチ
レンスキー:アレクサンドル・ザイツェフ
ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム
タチヤーナ:マリア・アイシュヴァルト
オリガ:エリザベス・メイソン
乳母:ルドミラ・ボガード
グレーミン公爵:ジェイソン・レイリー

幕が開くと、お家の庭です。
母親、乳母と一緒に縫いものをしていて出来上がったドレスを自分に合わせてはしゃぐ妹オリガと、ドレスに興味を示さずに寝そべって本を読む姉タチヤーナ。この2人の姉妹の性格の違いがわかりますね。
オリガの婚約者レンスキーが友人オネーギンを連れて登場。

タチヤーナとオリガの性格、オリガとレンスキーのかわいいラブラブカップルの明るさと厭世的で退廃的ともいえるオネーギンの暗さの対照的な描き方がみごとです。オネーギンはイヤなヤツだけど、田舎の女の子タチヤーナが恋に落ちてしまうのも納得できる魅力も持ち合わせています。

タチヤーナが自分の寝室でオネーギンに手紙(ラブレター)を書きながら眠ってしまい、夢で鏡の中から現れたオネーギンと踊るパ・ド・ドゥが、唯一この2人よる幸せなパ・ド・ドゥなんですよね。とても情熱的です。目が覚めて幸せな気分でペンを置くタチヤーナなのですが・・・。次の日に手紙を突き返され、目の前で破られてしまうのですよね。
今回もアイシュヴァルトは素晴らしいです。

前回のルグリはもちろん良かったけど、バランキエヴィッチはルグリほど周囲から浮いてしまわず、それでいて物語的には浮いてしまうオネーギンをリアルに演じていたと思います。彼はどんな役でもこなせそうですね。しかも観るたびに良くなっています。

オリガにちょっかいを出して友人レンスキーと決闘することになり、結局は友人を殺してしまうオネーギン。ここで初めて感情をあらわにしますよね。向こうから申し込まれたとはいえ、友人を殺すという取り返しのつかないことをしてしまったのですから。

その後、タチヤーナは素敵な女性になりグレーミン公爵と結婚しています。
今回の公演のグレーミン公爵はレイリーなので、あ、カラボスだ…と思ってしまいました(笑)それほど強烈でした、アレは。

ジョン・クランコ版の第1幕ではオネーギンは35歳くらい、タチヤーナは17歳くらいという設定だそうなので、現実的に考えるとオネーギン的には彼女の想いを受け入れることを考えられないというのはわかる気がします。でも、将来性を見抜けなかったオネーギンがいけないんですよね(笑)
第3幕では10年以上経っているので“ありえなくもない”状況ではありますが、初恋の人に気持ちが揺らぎながらもこれまで積み上げてきた人生の上に現在は違う幸せが存在しているタチヤーナは、やはりオネーギンを拒絶するしかないのだと思います。

この、最後の手紙のパ・ド・ドゥはオネーギンの現在の素直な気持ちとタチヤーナの葛藤が伝わって来る素晴らしい場面ですよね。オネーギンからの手紙を今度は逆に破って部屋を出て行くように命じるタチヤーナ。それでも、やはりオネーギンへの想いはあるわけですから、最後はやはり泣き崩れるのでした。

クランコの作品はストーリーがわかりやすいのに、とてもバレエ的なところが魅力だと思います。もちろん物語の内容を知ったうえで観ているから、というのはありますが、セリフがなくてもスッと入ってきます。

「オネーギン」は楽しめる演目ですね。
イリ・イェリネクは「『オネーギンこそが人生の恋人だった』と心のなかで思いながら残りの人生を生き抜くことを考えると、過ちを犯したのはオネーギンではなくタチヤーナ」と解釈しています。
今回の公演は眠りもオネーギンもメインキャストがすべて違うので、複数回観た人はかなり楽しめたことと思います。それぞれのオーロラ、デジーレ、カラボス、そしてオネーギン、タチヤーナがあるわけですから。特に「オネーギン」については、みんな解釈が違うみたいですよ。

シュツットガルト・バレエ団は飛び抜けたスーパースターはいないけど、全体のレベルはかなり高いです。おそらく何年後かにまたあると思われる次回の来日公演も楽しみにしたいと思います!

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